日髙システム(横浜市都筑区茅ヶ崎東)は、従業員数6人ながらも、温泉用水位計でシェア9割超を占める業界オンリーワン企業だ。温泉は限られた地下資源で枯渇もするため、同社の水位計によるモニタリングが必要不可欠となっている。現在、全国の温泉地だけでなく、海外にも輸出。今後は温泉向けで培ってきた技術を、地下水(井水)向けにも拡販していく。

井水向けに拡販

温泉用水位計は、温泉成分が付着したり、高温での稼働を余儀なくされたりするため、さびにくい材質を使用するなど、独自のノウハウが求められるという。現在、全国200カ所の温泉施設に納入、台湾でも使用されている。今回、そのノウハウを井水にも活用する。

井水は食品関係や電子産業など、多くの業界の工場で使われている。ただ、長く使い続けると地盤沈下につながるリスクがあるものの、自治体に対し水位の報告義務がないのが実情。そのため、最近では自治体から企業に対し、地盤沈下対策の一環として、井戸の水位管理を強く要請する動きが出ているという。

同社の水位計は、温泉同様、表示器や通信システムと組み合わせることで、水位の「見える化」が可能になるため、井水向けにもニーズがあると判断した。今後は「井水を使用しているあらゆる企業に提案していきたいです」(五十嵐崇社長)と話している。

■電源不要のシステム開発

一方、同社は、どこにでも持ち運び可能で、すぐに使える水位計の本体システム(ロギングシステム)を開発。今夏までに発売する。小型リチウム電池で動く本体から、センサーの稼働に必要な電気を供給するもので、電源が取れない場所でも利用できるのが特徴だ。

もともとマンホールの中の水位を見たい時に電源が確保できなかったことから開発したもので、どこの場所でも水位がピンポイントで分かるようになるという。

(2021年6月号掲載)