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海の中の「カルテ」を作成

ノマドサイエンス(寒川町小動)は、養殖場などの海水情報を計測するIoTシステム、「CAFE(カフェ)ブイ」のレンタルサービスを開始した。漂流ブイ(子局)を海面に浮かべ、海中温度と塩分濃度、酸素濃度を計測し、データをサーバーに送って分析するもの。気候変動が進む中、「海の中のカルテ」をつくることで、漁場の環境データの管理や異変察知のための分析をしやすくし、人手不足にも対応する。

海中IoTシステムを展開

パソコンやスマートフォンでアクセスするだけで、リアルタイムにモニタリングがきる。センサーは一体型。水深30~50メートルの水圧にも耐えられる特殊設計を施した。

同社によると個人の養殖場は漁師が兼任しているケースが多く、人手不足も重なり、環境管理の負担がネックになっている。堤正之社長は「農業と比べ、(漁場は)ITやIoT化が遅れています。海洋測器のコストが高く導入できないのが理由です」とも指摘する。

■漁場のIT化を

ブランドとして有名な有明海苔は、海水と淡水が混じり合う環境や、この地域独特の潮の干満差が生み出す豊かな生態系からつくられる。カキの有数の産地として広島が知られるのも、生育する地域の静かな波や、えさとなるプランクトンの育成環境が背景にあるとされる。

しかし近年の異常気象で原因不明の不漁が起こっても、IT化の進んでいない海では、原因分析に必要なデータに乏しいことが少なくない。

同システムのレンタルは月額3万3000円から(初期費用、システム登録料別)。3カ月以上の月単位で必要な期間レンタルができる。既に養殖場でも採用されているという。

ノリやサーモン、カキの養殖場などにニーズがあるとしており、今後は採用を提案していく。

(2021年10月号掲載)