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法人向けクリーニングを拡大 個人市場から反転攻勢

ベニスクリーニング(川崎市川崎区昭和)は、法人向けクリーニング事業を拡大する。在宅勤務の拡大などでスーツやワイシャツといった個人のクリーニング市場が縮小する中、同社は仕上げの丁寧さや自社配送による正確な納品が評価され、ホテルや鉄道会社などの大口需要を開拓。このほど法人向けの売上高が個人向けを上回ったことから、さらに近隣工場のクリーニング需要などを開拓していく。

ホテル・鉄道の需要開拓

丁寧な仕上げに評価

1942年創業、川崎区内限定で8店舗を運営する地域密着型のクリーニング店だ。従業員はパート社員を含め約50人で、クリーニング設備は本社・大師銀座店内に集中して保有。車両計7台で各店舗および法人顧客を回っている。

2023年9月に3代目の大野宏昌社長が就任。バーコードによる品物管理の導入のほか、法人需要の開拓本格化などの改革を進めている。

最初の大口契約となったのは羽田空港近くのホテル。丁寧な仕上げや納品時間の正確さなどが評価されたという。ホテルからの契約獲得が信用となり、今では鉄道会社などにも契約が広がっている。

川崎の工場にも営業

周辺に集積する川崎の工場からは、これまでにも小口の依頼があり、「汚れのひどい作業着でも洗い直しを求められるクレームはほとんどなかったです」(大野社長)という。そのため改めて工場からの大口契約獲得を目指す営業活動に着手する。

クリーニング業界では、クールビズの一般化や在宅勤務の拡大で市場が大幅に縮小し、店舗の土地をコインランドリーに転用する例などが少なくない。その中で、同社は法人需要の開拓によりクリーニング事業を維持発展しながら、物販など新業態の研究にも注力していく。

(2024年9月号掲載)