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水質中の重金属を高精度で測定 ポータブル分析装置

RETECH(鋒霈環境科技、台湾・新竹県)は、水質中の重金属をわずか2〜5分で高精度測定できるポータブル分析装置を開発し、日本市場での展開を計画している。血糖値測定器と同様に、検査したい水を一滴、カードサイズの専用ストリップに垂らして本体に差し込むだけで測定できる。持ち運びが可能なだけでなく、操作がシンプルなため、専門的な訓練を受けていない人でも簡単に使用できるのが特徴だ。

シンプルな操作性、日本展開検討

六価クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)など計10種類の重金属に対応する。「台湾の排水に含まれる重金属の8割をカバーしています」(蘇哲智・総経理室特助)という。

測定したい重金属の種類ごとに使い捨てのストリップが用意されており、測定精度はppb(ppbは10億分の1を表す単位)レベルを実現した。

なお、同社は半導体の製造工程で発生するフッ化水素酸廃液を、かつてはアルミニウム製錬に不可欠な溶剤だった氷晶石などの工業原料に転換するシステムを世界で初めて構築した企業。

2021年から台湾積体電路製造(TSMC)の工場で稼働しており、廃液をその場で再資源化し、グリーンケミカル製品として再利用する「都市鉱山」モデルとして注目されている。

(2025年9月掲載)