日本濾水機工業(横浜市南区井土ヶ谷中町)が今年6月10日に創業100年を迎えた。1918(大正7)年、衛生環境の悪さが原因で、病気や亡くなる人が出たのを目の当たりにした創業者が「社会を良くしたい」と、外国製の除菌フィルターを見よう見まねで作った のが出発点だ。当時開発したセラミックの濾過筒「セラポア」は、現在でも継承されている。今では「セラポア」を用いた濾過機や水処理装置の製造販売、用水処理プラントエンジニアリングが事業の柱だ。

攻めの経営を

同社の濾過機は製薬や飲料、化粧品などのメーカーに採用されている。製薬業界向けがほとんどで、例えば注射用溶液の精製に使われている。この「セラポア」は戦時中には、陸軍の兵士が同社の移動用濾過器を携帯し、命をつないでいたという。

そんな歴史がある同社だが、100年企業になる秘訣について、5代目の橋本美奈子社長は「何も特別なことはしていません。お客さんと誠実に向き合ってきた結果です」と話す。そして「お客さんから『これができないか』とか『困っている』といった声に100年間、純粋に応えてきました」と付け加える。

■次の100年見据え

同次の100年を見据え乗り出したのが攻めの経営。このほど社内に「濾過営業チーム」を新設。ここで「セラポア」の用途開拓を進めていく。「守りだけでは次の100年はないです。『セラポア』の新しい価値を見出し、国内外の市場のニーズを見極めることが必要です。攻めに転じるため、今は足固めの時期です」と橋本社長。新たな挑戦を始めようとしている。

(2018年6月号掲載)