放課後等デイサービス運営のVirtuous Circle(ヴァーチュアスサークル、川崎市麻生区はるひ野)は、教材開発企業「らしく」と共同で、身近なもので遊びながら、算数の“土台”が身に付けられる新教材を開発した。算数が苦手な子どもや、発達が気になる子、未就学児などが対象。算数が分からない子どもたちは「数の概念」を理解しないまま、やり方だけを断片的に暗記し答えるケースが多く見受けられるといい、結果として日常生活でも支障をきたすことがある。同教材の活用により、徐々にステップアップしながら「本質」の理解につなげてもらう。児童発達支援事業所や特別支援学校のほか、未就学児などにも提案する。
日常にも生かせる教材開発
■経験からたどり着く
同教材は「a socca!(あそっか)」と名付けた。数の概念「20まで」「100まで」に加え、お金と数の概念「20まで」「100まで」と、段階別に計4種類で構成。1冊からでも購入できるが、セット(6490円)のが学習効果が高いという。
通常は幼児期に、一つずつ数えなくても、ぱっと見て数を判断する能力(サビタイジング)が身に付く。しかし、中には、指で数える世界から抜けきれない子どもたちもいるという。
そのような状態でルールの暗記だけに頼って計算していると、学年が上がるにつれ混乱が大きくなってくる。「そうなると、日常生活でも買い物など、あらゆる場面で影響が出てきます」と、ヴァーチュアスサークルの関崎淳一社長は指摘する。
同社では放課後等デイサービスで子どもたちを預かる中で、急に計算ができなくなる子どもたちがいた。「なぜだろうと考えていくうちに『数の概念』にたどり着きました」(関崎社長)。
■3年かけて開発
市販の教材は学年別のドリルなどがあるが、「数の概念」に特化したものは存在しない。そこで、大手出版社で教材開発に携わってきた「らしく」の松木ゆう子社長とともに、約3年間かけて同教材を開発した。神戸大大学院の岡部恭幸教授も協力した。
「おはじきやお金などの身近なものを使って、遊びながら身に付けられます」(松木社長)としており、家庭で親子でも楽しめるように工夫した。「実生活に生かせ、小学校に入学した時にも算数が理解しやすくなります」(同)。
今後はヴァーチュアスサークルなどで新会社を設立し、教材の普及やサブスクリプションサービスの動画提供も計画している。