レーザー彫刻、坂田彫刻工業所(川崎市幸区塚越)は、“彫刻の溝”を計測、解析する新事業を始めた。高精度のデジタルマイクロスコープによる3次元測定で3D画像化。数値計測と解析を行う。希望があればレポートも提出する。「深さの測れる彫刻屋」として業界初の試みといい、商標登録も出願済みだ。

登録商標も出願し新サービス

これまでは彫刻の溝を測る方法はなかったが、新サービスでは、レーザー彫刻や機械彫刻した加工面をマイクロメートルレベルで計測する。

3D画像からさまざまな溝の深さを測定して、結果をレポートとして提出することもできる。「品質保証の資料としても活用すれば、付加価値にもつながります」と、坂田善則社長は語る。

まずは、受託案件に対する付加価値として、同サービスを無償で提供。原則、同社での加工を条件としているが、品質検証のために検査・レポートなどを希望する場合は有償となる。すでに、彫刻の溝のトラブルに悩む発注企業からの引き合いも寄せられているという。

■同業との差別化

同社は、高速道路や空港、発電所関連などのインフラ向けに金属やアクリル、軟質材など多種多様なネームプレートを手掛ける。

ものづくりの最後に仕様が決まり、かつ短納期案件が多いため、国内にも根強く需要があるという。ただ、後継者不足や技術の進歩により新しい素材や技術のニーズへの対応が難しく、廃業している同業者も年々増えている。

そんな中、同社は、既存の設備で技術を磨きつつ、新しい機能を搭載した設備の導入も計画的に行ってきた。今回の新事業進出は、「他がやっていない品質検査をあえてサービス化することで、数多くある同業者との差別化を目指すためです」と、坂田社長は語っている。

(2023年2月号掲載)