人材派遣業のジョビア（横浜市神奈川区西神奈川）は、ハーブ類の栽培から加工、流通までを完結させる新拠点を稼働した。コロナ禍で飲食店などのテナントがすべて撤退してしまった自社ビルをリノベーションして新事業を展開。業界初の試みといい「都市型6次産業の複合施設」と位置づける。事業再構築補助金にも採択された。
ジョビア、都市型６次産業の新拠点
５階建てビルの3階でハーブ類などを水耕栽培し、2階のセントラルキッチンで洋菓子や料理に加工して、1階のカフェとパティスリーで販売する。「ビル1棟の中に1～3次産業まで集約する事例は、県内でも初めてだと思います」と吉備カヨ社長は語る。
現在、10種類ほどのハーブやエディブルフラワーを栽培。洋菓子のほか、ドレッシングやサラダにも加工する。「どんな商品がヒットするか分かりませんので、スイーツからカレーまで作れるよう、今後は商品の幅を広げ、チャンスをものにしていきたいです」（吉備社長）。近く、ECサイトによる全国販売も計画する。
■空きスペース活用の好事例に
1959年に「横浜マネキン紹介所」として創立。百貨店やアパレル関係などに販売職の人材を派遣・紹介し、順調に成長を遂げてきた。だが、コロナ禍で危機に直面した。取引先の商業施設は時短営業に踏み切り、自社ビルに入居していたテナントも相次ぎ撤退していった。ビルオーナーにとって、コロナ禍による飲食店などの閉店は家賃収入に影響する。
それでも「コロナが与えてくれたチャンスだと思っています」（吉備社長）と前向きにとらえ、今回のプロジェクトを立ち上げた。
テレワークやバーチャルオフィスの普及で、都心部では企業がビルから撤退する動きもある中、「空きスペースを活用し、自分たちでも何かできる事業の一例になっていきたいです」（同）とも話している。
