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“最低のねじ”でグッドデザイン賞

ねじ商社、サイマコーポレーション(藤沢市辻堂)が製造販売する、プライベートブランド(PB)商品の超極低頭ねじ「310(サイマ)スリム」が、2022年度のグッドデザイン賞を受賞した。ねじ製品の受賞は珍しい。最小サイズの場合、頭部の高さがわずか0.5mmという“最低のねじ”だ。「まさか、ねじで受賞できるとは思いませんでした」と斎間孝社長は話している。

サイマコーポ、頭部の高さ0.5mm実現

規格化された製品が市場を席巻するねじ業界だが、その中でも、インパクトと機能性、デザイン性を両立させたオリジナル製品でニッチなユーザーを獲得。

価格は同型の規格品と比べると5倍以上するものの、01年5月の発売以降、国内外で累計7000万本を販売。産業機器の筐体や部品のほか、鉄道や家具、オートバイ、ラジコンのアフターパーツなど、幅広く採用されている。

ねじ部分に出っ張りが目立たなくなり、スタイリッシュなデザインに仕上がるという。今回、こうした点が評価された。

従来、ねじの締結部分を目立たなくするには「皿ねじ」と呼ばれる規格品が存在するが、薄板には使えない課題があった。その点、同製品は薄板にも使えるため、デザイン性を損なわず、機器の小型軽量化につながる。既存の小ねじと変わらない強度も実現した。

■超ニッチ戦略

サイズやリセス(ねじを締める際の工具用の穴)、材質(鉄・ステン・アルミ)、めっきの種類などに応じラインアップ。同社の直販サイトなどで販売しており、需要も安定しているという。

「グッドデザイン賞は最終製品ばかりですが、ねじでも受賞できることが示せました。反響は大きいです」(斎間社長)と語り、今後の新製品開発にも意欲を燃やしている。

なお、同社はジャパンブランドのねじを世界約30カ国で販売。「いたずら防止ねじ」や「ドローン専用ねじ」など、ユニークなオリジナルPB製品も展開しており、超ニッチな製品を続々と市場投入することで価格競争と一線を画し、固定客を増やしている。

(2022年11月号掲載)