ベンディングの常識を変えたい─。東京精密発條(横浜市都筑区東方町)は、板金機械の一種、ベンディングマシン用に、加工後の素材に傷を付けない特殊ツール「ウイングベンドプラス」の販路拡大に乗り出した。すでにドイツなど欧州での販売が好調なことから、日本国内での認知度を高めながら、全国の板金加工業者に売り込む。従来の金型では、曲げ加工中の圧力により、素材に傷が生じていたが、同ツールに置き換えることで「完全に傷なしを実現できます」(大西貴子取締役)としている。
ベンディングツール販路拡大
金属の板材を切断したり曲げたりして任意の形状にする板金加工では、ベンディングマシン(プレスブレーキ)と呼ばれる専用の機械を用いる。
上部の金型(パンチ)と下部の金型(ダイ)の間に板材をセットし、上から強い圧力をかけることで曲げていく。ただ、上から強い圧力が「点」の力で板材に集中して加わるため、傷や摩擦傷などが生じてしまう。
これに対し、既存のダイの代わりに同社のツール「ウイングベンドプラス」を使用することで、これらの問題を解消した。
具体的には、上から圧力がかかると、同ツールの先端が左右に開きながらスライドしていく。これにより、板材にかかっていた点の衝撃を逃がしながら「面圧力」に変え、傷を付けないという。
■段取り時間大幅短縮
また、従来だと曲げたい角度ごとに異なるダイが必要だったが、同ツールでは60~120度まで1台で済む。段取り時間の大幅削減にもつながるとしている。