視覚障がい者をターゲットとしたプログラムを展開するデイサービスセンター「アライブ」が、川崎市幸区内に開設された。視覚障がい者に特化し、介護保険と障害福祉サービスを一体的に提供できる共生型デイサービスとしては全国初という。通常のデイサービスにはなじめない視覚障がい者がいる状況を打破しようと、介護に長年携わる渡辺大三郎施設長が眼科医とタッグを組んで新会社TDを設立。施設運営に当たる。「視覚障がい者を社会から取り残さない」という強い思いがあるという。

共生型デイサービス開設

眼科医監修のプログラムを提供し、設備も工夫した。例えば、部屋の右側は緑に、左側は赤にカラーリング。視覚障がい者が認識しやすい緑と赤を意識したものという。

その近くにはエクササイズグッズやベッドを設置した。「緑のエリアは運動するところ、赤のエリアは休むところと覚えてもらっています」(渡辺施設長)。

このほか、スマートフォンにある視覚障がい者向け機能の勉強会を開いたり、拡大読書器を使用して新聞を読んだり、外出訓練をしたりするなど「見えないことで諦めていたこと」に再チャレンジしたりするプログラムも用意した。

■利用者の情報交換も

同施設が視覚障がい者に特化した理由としては「利用者同士の情報交換」を進めることも大きいという。

一般的に「視覚障がい」といっても、先天的と後天的な障がいでは異なる。渡辺施設長は「小さい頃から視覚障がいのある人にとっては当たり前でも、視覚を失ったばかりの人は不安の連続です。こんな時にどうしているのか、利用者同士が気持ちを共有することで、悩みを乗り越えるきっかけになれば」と話している。

(2023年8月号掲載)