金属加工・樹脂加工・その他加工

新卒入社の続く製造業の努力とは 教育、社員交流に工夫

人材不足が顕著な製造業でも、若い人材の獲得や育成に成功している実例がある。ステンレス加工、双和製作所(相模原市緑区根小屋)では、現場従業員の平均年齢は30代前半だ。新卒4人が入社した年もある。応募側の視点に立ってホームページを一新し、入社前の期間にも内定者と社員が交流するイベントを開催するなど、知恵を絞っている。

「新卒が新卒を呼ぶ」

2019年5月に設立50年を迎えた。飲料や食品工場のプラント設備で使用するステンレス加工部品が主力。板金から溶接、組み立てまでを一貫して手掛ける。パイプの外から溶接して内側も一緒に溶接する「裏波溶接」もウリだ。

ステンレス加工が主力事業

年々、若い人材が入社。現場でも若い職人たちが教育に当たっている。「新卒が新卒を呼びます」と齋藤睦社長。新卒社員が定着することで、出身校の後輩や友人の入社が続く。

応募があってもすぐには面接せず、いったん時間をかけて工場見学をしてもらう。1週間後をめどに入社希望が本物かどうかの返事をもらい、そこでの希望者を初めて面接する。

一新したホームページは、働く仲間や先輩たちの声や写真を多く掲載するほか、頻繁にある社内イベントをブログで公開するなど、「応募者目線で制作しました」(齋藤社長)。

入社前にも内定者と交流

9月に決まった内定者に対し、翌年4月に入社するまでの間、レジャー施設でのバーベキュー大会やハイキングなどに参加してもらい、社員たちと交流を深めてもらう。新卒者が入社後にスムーズに職場になじめるようにするためだ。「新卒者のことがよく分かれば、入後の配属先の参考にもなります」(同)。

教育はマンツーマン。社内で毎年、溶接コンテストを開催し、出来映えを競い合っている。最優秀者の作品は社屋の玄関に展示されている。

(2020年2月号掲載)