技術者派遣のアルプス技研(横浜市西区みなとみらい)は、訪問介護事業に参入する。7月に全額出資の子会社を設立。10月から訪問介護サービスを展開する。介護事業の国内市場規模は10兆円(2018年)とされ、25年には団塊世代全員が75歳以上(後期高齢者)、42年には団塊ジュニア世代を中心に高齢者人口がピークを迎える。今後の市場規模拡大をにらみ、社会課題解決につながる分野としても着目し、経営資源を投入する。

市場規模拡大にらみ

新会社「アルプスケアハート」の資本金は1億円。本社は相模原市緑区西橋本の「アルプス技研第2ビル」内に置いた。年内に訪問介護員(ホームヘルパー)を中心に約30人体制とし、まずは市内でサービスを開始、徐々にエリアを広げていく。将来は全国展開も見据える。

介護業界は慢性的な人手不足が続いているが、同社はパート勤務ではなく「正社員」か「時短正社員」として採用する。時短社員の場合、育児中の主婦層などが勤務日や時間をフレキシブルに設定。生活が落ち着いた段階で、いつでもフルタイムの正社員に切り替えられる。これにより、優秀な人材の確保につなげていく。また、業界未経験者も積極採用する。

アルプスケアハートの市村貴彦社長は「(スタッフの)教育に力を入れ、人間性も高められるようにしていきたいです」と話しており、人材の“質”で同業他社との差別化を図る考えだ。

一方、本業で培ってきたノウハウを生かし、関連する事務作業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化も進める。第一弾として、ホームヘルパーがケアマネージャーに提出する書類作成業務をデジタル化。タブレット端末などで入力できるシステムの開発を進め、働き手の負担軽減につなげていく。

(2021年8月号掲載)