堀硝子(厚木市上依知)は、接着剤の乾燥時間を飛躍的に縮められる独自技術「超速硬化工法」の用途開拓を進める。同技術はすでに自動車業界で採用され始めており、フロントガラスなどに樹脂部品を接着する工程時間を、従来の1日から約1分にする。水蒸気をさらに温めた「過熱水蒸気」を当てることで実現した。
超速硬化工法を用途開拓
日産自動車の国内1次部品メーカー(ティア1)に選定される企業。自動車用ガラスに部品を接着して完成車メーカーに供給する事業などを手掛ける。
業界では、自動ブレーキや自動運転技術の普及により、フロントガラスなどにさまざまな部品を取り付ける需要が高まっている。ただ、ガラスに対して樹脂部品などを接着させるには、乾燥時間が丸1日かかり、生産効率を高める足かせになっていたという。
加えて、社内に乾燥室を設置したり、乾燥後も保管場所を確保したりする必要があった。
同技術は、機能が異なる複数の既存の接着剤を組み合わせた専用剤を用いる。そこに、ボイラー(スーパーヒーター)によって生み出した「過熱水蒸気」を当てる。この水蒸気を当てることで、接着部品の表面は100度Cの「水の膜」で覆われるため、それ以上は温度が上がることなく、部品の耐熱性に影響しない。そして、水蒸気から水に変わるときに放出されるエネルギーが芯まで浸透、最終的に乾燥させる。
現在、自動車業界以外での用途開拓を進めており、テクニカルショウへの出展も続ける。開発に携わった原田裕之主査は「接着剤を早く固めるというニーズは、いろいろな業界であるはずです。それを探っていきます」と話しており、今後の普及に意欲を示している。