5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は“企業生き残りの基礎”だ! 医療機器メーカー、マーク電子(相模原市緑区橋本台)の創業者、村山忠雄会長はこう強調する。1977年の創業以来、5Sに対し厳しい姿勢を崩さない。現場では女性責任者の後藤弘子次長を抜擢し“想いを伝える5S”を実践する。
5Sで品質が決まる
「だらしない工場からはだらしない製品が出る。メイド・イン・ジャパンは、安心と安全とおもてなしの心。おもてなしの心があれば製品に魂が込められ、良いものができて利益につながる」と村山会長は説く。創業から継続する5Sの秘けつは「(トップの)想いを伝えること」にあると言う。
そんな同社の5S活動を統括するのが、安全委員会責任者の後藤次長だ。後藤次長は「5Sは単なる掃除ではありません。取り組む姿勢が通常の仕事にも反映します。だから、継続させるためしっかり・しつこく向き合っています」と説明する。
始業前は当番制の敷地清掃。終業後は全社員で5分間の職場清掃を毎日やっている。安全委員会は、問題が発生すると、臨時招集で10分程度集まり“即対応・即行動”を徹底している。
「掃き掃除一つを取っても、その行動で仕事ぶりが分かります。敷地内だけを完璧に掃除する人と、公道の落ち葉も黙って掃く人では、仕事における気遣いが違います。それが、仕事でも結果を出し、利益を生み出します」と後藤次長。
■小事が大事を生む
一方、若手社員には、ささいな異変があってもすぐ上司にSOSとして発信することの大切さを教育する。
「機械も突然ではなく、変な音や動きがあって壊れます。人間も、ささいな不満や行き違いに耳を傾けることで、コミュニケーションが図られ、積もり積もって会社を去ることがなくなります」(後藤次長)と話している。