商用トラックのリースなどを手掛けるタカネットサービス(横浜市西区みなとみらい)は、お客さんに「常に新車に乗ってもらう」という、ドライバーにとっては夢のようなサービスを実現する。トラックの新車に1年か2年乗ってもらい、それ以上乗りたい場合は、また新車をリースする。そんなサイクルを可能にしたのが、中古トラックの売買などとセットにした独創的なビジネスモデルだ。会社設立後わずか10年足らずの2019年2月には、東京証券取引所「東京プロマーケット」への上場も果たした。既成概念にとらわれないビジネスモデルを構築したことで、コロナ禍にも負けず、着実に成長を遂げている。
設立10年で東証プロ市場に
トラックのリース・レンタルをはじめ、中古トラックの売買、さらにはグループ会社で物流事業などを展開する。
物流専門紙を経て、海外市場に中古トラック・バスを販売する企業に在籍していた西口高生社長が09年6月、横浜市内のマンションの一室でスタートした。それが今や売上高100億円規模にまで拡大する。創業当初からの事業領域はユーズド(中古商材)で、トラックなど商用車に特化している。しかし、単にユーズドを扱うだけなら、どこにでもある中古車販売業者と変わらない。
その点、同社は「リースdeスグのり」「トラックランド」などのブランド名でトラックのリース事業や中古車の買い取り・販売を全国で展開。リース事業では1年もしくは2年の短期リースをしている。しかも、リースするトラックは全て「新車」だ。なぜ可能になるのか。
■長い耐用年数
西口社長が創業前から着目していたのが、トラックの耐用年数。「法定耐用年数はだいたい5年ですが、日本メーカーのトラックは品質が優れているため、7~8年は乗り続けられます。その後、中古車として海外で使われても10年は持ちます」(西口社長)と説明する。
長い耐用年数のため、トラックは中古になっても急激に価格が下がることはない。むしろ新車市場の供給が追い付かない場合は、価格が上がることもある。そのため、新車で仕入れ、1~2年のリースを経て中古車として売ったとしても、十分に利益が出せるのだ。トラックの中古販売やメンテナンスまでを一貫してグループでカバーしたことで、こうしたビジネスモデルが実現できたという。
■むしろ追い風
「世の中は買う時代から借りる時代になっています。(トラックは)資産として持ち続けるより、借りた方がリスクが少ないことから、リース利用者は増えています」と西口社長。現在までに累計400社ほどが同社とリース契約している。一方、コロナ禍でトラックメーカーの生産が停滞し、納期が長引いていることも、中古トラックの需要増の要因にもなっている。
数年後にはジャスダックかマザーズへの市場変更を目指す。西口社長は「オリジナルなビジネスモデルとオリジナルの人材こそ、それを可能にします」と話している。