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工場の使用済み工業潤滑油を再生 価格高騰で需要拡大

港北油化(横浜市青葉区寺家町)は、大手製造業向けに工業用潤滑油の再生事業を拡大する。再生利用は廃油の焼却処理に比べ二酸化炭素(CO2)発生を大幅に抑えて地球に優しく、オイル交換のコストも半分以下にできるという。潤滑油の価格が品種によっては倍以上に高騰するなかで引き合いが急増しており、自社設備の処理能力拡大や潤滑油販売会社との協業を進め需要拡大に対応する。

コストは半分、環境にも配慮

同社は1965年設立、使用済み工業用潤滑油の再生事業に取り組み、60周年を迎えた。現在は廃油を活用したコンクリート離型剤、新品の金属加工油製造を合わせた3事業を展開、顧客の要望でオーダーメイド対応する。

工業用潤滑油の再生事業は鉄鋼、自動車などの大手顧客約20社からギア油、プレス油、切削油、熱処理油などの各種工業用潤滑油を預かり、再生処理して戻している。

再生は1加温タンクでかく拌・静置して水やゴミを分離2多孔質の「ろ過助材」を加えて加温・かく拌し微細な不純物を回収3エアポンプでフィルターを通し、ろ過助材を除去―の順に行い、新品に近い性能を回復する。

鉱物油をベースとした潤滑油ならほぼ対応可能で、再生できるかの無料テストにも応じる。

使用済みの潤滑油は顧客の工場まで回収に行き、再生した潤滑油は全量を元の企業に自社トラックで届ける。

横浜市の指導により廃油から水分を除く中間処理段階までは「産業廃棄物」扱いとなるため、処理の管理伝票であるマニュフェストの発行についても同社がサポートする。

コスト削減効果は処理量が増えるほど大きくなる。1本200リットルのドラム缶で月に5本程度の廃油が発生する大手工場なら、再生処理の方が安くなるという。

同社では現在1日あたり4トン(ドラム缶20本)を処理する自社設備の能力を拡大する準備を始めた。

さらに、潤滑油の販売業者が潤滑油の価格高騰を受けて再生潤滑油に注目していることから、販売業者と共同で新規設備による再生処理事業を展開することも検討していく。

廃油はほとんどが焼却処理され、熱を回収する形でリサイクルされている。これに対し、潤滑油に戻す再生利用なら、焼却に比べCO2の発生を大幅に抑制できるという。

工業用潤滑油の価格が高騰しており、「1リットル100円だったものが(ここ最近は)300〜400円です。一方、再生潤滑油は新品の半分から4分の1のコストになるだけでなく、CO2削減で環境に優しい時代にマッチした事業です」(金子裕一社長)と話している。

(2025年4月掲載)