高級品として知られる「多摩川梨」を使った生ジャムの製造販売を、就労継続支援B型事業所、はっぴわーく(川崎市多摩区登戸)が続けている。事業所の自社ブランド商品だ。利益を生み出す事業を手掛けることで、勤務する精神障がい者の工賃アップを図り、彼らがより輝ける場を提供していく。
売上増で工賃アップ
多摩川沿いに点在する農家で採れる梨は、主に贈答用となり、地元スーパーでは見かけない高級品。
障がい者の仕事を創出しようと、2011年から自社ブランド商品「多摩川梨ジャム」(70グラム入り350円)を開発し、ほそぼそと生産してきた。
3年後に転機が訪れる。JR東日本が南武線の新型車両のお披露目に併せ、地元の名産品もPRしようと始めた「6次産業化プロジェクト」に、ジャムが選ばれた。ベーカリー、「リトルマーメイド」の一部店舗などで期間限定で販売された。
現在は市内農家9件と契約。梨のほかにも、冬はみかん、春はイチゴ、夏はトマトなど、季節に合わせて年間10種類ほどの生ジャムを製造販売している。傷があったり、形が悪かったりして出荷できない規格外品を活用する。
「品質も味もよいジャムを作ることで、野菜や果物を作っている地元農家のことも知ってもらいたいです」と、田中敦子主任。生ジャムの普及に向けて、期間限定で市内の学園祭や地域のイベントなどにも出店し、人気を呼んでいる。
事業を始めた11年前から3倍以上の売れ行きとなり、それに伴って利用者の工賃も約2.5倍になった。田中主任は「今後は利用客のニーズに応えるよう、製造技術を高めたいです。販路拡大にも挑戦していきたいです」と、意欲を燃やしている。