住まいの産業 / ライフサイエンス

宿泊体験できるモデルハウスオープン

注文住宅の相陽建設(相模原市緑区西橋本)は、JR横浜線・矢部駅近くに“体験型”のモデルルームをオープンさせた。実際に宿泊体験をしたうえで購入を決められる。これまでは住宅展示場の来場客に対して商品の魅力を訴求していたが、「コロナ禍で消費者の購買行動が変わり、体験型に対するニーズも出てきました」(古橋裕一社長)と、新しい販売方法を始めることになった。

消費者の購買行動変化に対応

同社は有害物質を一切使用せず、オール無垢(むく)材にこだわった「ゼロ宣言」の家づくりを進めている。壁もクロスではなく漆喰(しっくい)を使用する。そうした家の住み心地は、1~2泊程度、宿泊してもらわないと体感できないという。

「クルマでは試乗があるのに、住宅では“試し住み”を聞きませんでした」と古橋社長。コロナ禍で住宅展示場のような集客型ビジネスが変わってきたことも理由という。

一方、体験型モデルハウスのオープンとともに、住宅・リフォーム事業を新ブランド「SOLE LIVING」に統一。関連部署を本社から展示場隣接の新事務所に集約した。

■8割超がリピート、紹介

現在の年間施工件数は社内全体で年間400~500。その8割超がリピートや紹介によるもの。

同社の場合、顧客フォローを拡充するために施工範囲を「半径15キロ圏内」にあえて限定。徹底した地域密着戦略を図るとともに、同社の顧客や関係者を対象とした独自のサポート制度「応援団」を運用している。

同制度は年会費約1万円で、原則毎月1回1時間以内でお客さんの生活をサポートするもの。例えば、庭の草むしりから清掃、電球交換などに出向く。材料費などは別途負担だが、一人暮らしの高齢者などに重宝されているという。

また、購入後の住宅は3年に一度、無料で定期診断を実施。営業範囲を限定して地域のお客さんを深掘りしていることや、徹底したアフターフォローにより、大手との差別化を図っている。

(2023年5月号掲載)