ヴェール(VERT、川崎市高津区諏訪)は「ヴェール訪問看護ステーション二子」で、通常の訪問介護では対応できない糖尿病や呼吸器疾患などの患者に自宅で医療的ケアを提供する。1990年代に国が始めた制度だが、看護師の人材不足もあり需要が拡大している割には利用されていない。自身も看護師である青柳美恵社長は「ご自宅でも医療ケアを受けて安心した生活を送れることをもっと知っていただきたいです」と話している。
オンコールに24時間対応
訪問看護は医師が必要を認めた人が利用できる。介護保険でカバーするリハビリなどの対応から、医療保険で対応する点滴による栄養補給や糖尿病の透析、人工肛門の管理といった医療的ケアまで提供する。
訪問頻度は週1回程度から24時間対応まで患者によって異なる。がん患者の看取りといった重症事例だけでなく、足の骨折で退院はしたもののリハビリに通えない事例など、さまざまな患者の自宅での生活をサポートする。
医療保険での1割負担を基本に、近くの病院では対応できない事例で本人が自宅での看護を希望する場合など、10割自己負担での利用も可能だ。
ヴェール訪問看護ステーションは現在、青柳社長を含め6人の看護師が活動し、もう一人の事務担当も看護師資格を保有。患者からのオンコールに24時間365日対応している。
川崎市全域と横浜・東京の一部をカバーし現在の利用者は60人ほど。病院のソーシャルワーカーなどからの紹介が多く、本人や家族からの直接依頼はほとんどないという。
訪問看護の利用が少ない背景には看護師は大きな病院でも人材確保が難しく、事業所の規模が小さい訪問看護はさらに厳しいとのイメージがある。
しかし、同社はメールのやりとりや職場の見学対応を通じて訪問看護のやりがいをアピールした結果、創業時からスタッフ数が倍増したという。
看護師は、オンコール当番はあるが、基本的に午前9時〜午後6時の勤務で月10日の休日を確保。「一人ひとりの患者さんとじっくり向き合うという看護師の初心に戻って仕事ができます」(青柳社長)と話している。


