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太陽光、蓄電池のフル活用可能に

 

YAMABISHI(海老名市上郷)は、太陽光発電に蓄電池を活用し、工場での電力消費を最適化できるエネルギー自家消費制御システム「SmartSC」を開発した。気象庁提供の天候予測データや、工場における過去の電力消費データなどから、システムが人工知能のように今後の余剰電力を予測。太陽光・蓄電池・電力会社からの電力を「賢く使い分ける」(蓮池一憲CEO)ことで、電気使用料やCO₂排出量の大幅削減につなげる。再生可能エネルギーや蓄電池を最大限活用できるという。

CO₂排出量を半減

同システムは、気象庁がスーパーコンピューターで演算して提供する数値予報「メソモデル」から、今後の太陽光発電の発電量を予測。同時に、工場での過去、現在の消費データをベースに、最大36時間先までの余剰電力を予測する。

例えば、明日は快晴だったり、工場が休日で稼働しなかったりする場合は、太陽光発電からの供給量が余剰になることが予想される。そのため、前日に工場内の電力供給を蓄電池に切り替え、蓄電池容量の“空き”をつくる。そうすれば、翌日の太陽光発電からの電力を蓄電池に回せる。

さらに、蓄電池を有効活用することで、ピークカットによる電気基本使用料の削減ができる。停電時にもサーバーや工作機械といった重要設備に電力を送り続けられるため、シャットダウンせずに稼働を継続する。「BCP対応にもつながります」(蓮池CEO)と説明している。

■海老名工場で実証

同社では、システムの本格展開に先立ち海老名工場で検証したところ、年間のCO₂排出量がほぼ半減したという。今後は、地球温暖化対策に熱心な中小規模の工場のほか、停電により1秒たりとも操業を止められない設備を持つ企業などに採用を働きかける。

導入価格は小規模なもので3500万円から。関連する補助金を活用すれば、初期投資は抑えられるという。

(2021年8月号掲載)