機器・装置・製品/ロボット

天井クレーン操作を安全に ミスをなくすシステム開発

工場の製造工程で部品や製品をつり下げる天井クレーンの作業で起きる労災事故が課題となるなか、塗料メーカー、五合(愛知県)は新規事業として、クレーン操作の安全システムを開発した。操作者のヒューマンエラーの可能性を考慮した人間工学を取り入れ、ミスが事故につながる恐れを抑止する狙い。日本国内に加え、労災防止の法制度が強化された韓国の市場にもアプローチを狙う。

コントローラーと方向指示器

開発したのは、クレーンコントローラー「zen」と、クレーン方向指示器「UEYOSHI」。

「zen」は、操作者自身がコントローラーを持って動くことで、方向を検知してクレーンを操作する。従来型の「東西南北」のボタンを押して動かす手法で起きがちだった方角誤認によるミスを、操作者の体感で動かすことによって防ぐ。

「UEYOSHI」は、クレーン設備の上部など、工場内で見やすい位置に取り付ける方向指示器。クレーンが動く方向を矢印で電光表示する、信号機のような役割を果たす。

2000年に創業。本業は無機塗料の製造で、金属や陶器、ガラスなどの部材への焼き付け塗装を手掛ける。2005年に自社工場でクレーンのホイストが原因で作業員が負傷する労災事故が発生したことから、安全なクレーンの開発を着想した。

学会での発表や論文を通じた説明も重ねた。クレーンを使う生産現場からは「毎日のように『ヒヤリハット』が起きている」と、製品への共感も聞かれるという。国内では約70カ所への納入実績がある。

韓国でも2022年、罰則を盛り込んで事業場に安全管理を義務づける法制度が施行されている。小川宏二社長は「世界市場は大きい。この製品をスタンダードにしたい」と話している。