ブルー・スターR&D(相模原市中央区横山台)は、超音波により超微細な真空の泡「キャビティー」を水槽内で発生させることで、汚れを除去する大型プレス金型専用の洗浄装置を開発、発売した。これまで人手と労力がかかっていた自動車生産用の大型金型の洗浄作業を自動化する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人件費削減や生産設備の自動化に対するニーズが高まっている中、同装置に対する引き合いが増えており、すでに2台を受注済みという。

新型コロナ影響で引き合い増

「ペリオンMm-EH」と名付けた同装置は、大きな水槽(洗浄槽)が特徴。ここに1~5トンの金型をクレーンで沈める。弱アルカリ系の洗浄液を入れ、25~275キロヘルツの超音波で発生させた強力なキャビティーで、金型に付着した油汚れなどを除去する。柴野佳英会長によると、大型の金型は定期的なメンテナンスが必要だが、これまでは複数人で金型を分解し洗浄作業に当たっていた。その作業に1週間かかるケースもあるという。

その点、同装置を使うことで、重さ2トンの金型の場合、わずか15分程度で洗浄できるとしている。稼働中は水平移動のジャバラ方式のふたが閉まる。人件費削減だけでなく、生産の効率化や品質維持にもつながるという。

幅1~1.5メートル、長さ1~2.5メートル、高さ150~300ミリ、重さ1~5トンの金型に対応。価格は超音波出力が4800ワットの場合1850万円、7200ワットは2700万円。初年度5台の受注を見込んでいる。

■基幹部品を国内生産に切り替え

同社が製造販売する超音波洗浄装置に欠かせない基幹部品が「超音波振動素子」。これまでは中国から100%調達していたが、新型コロナの影響で供給がストップした。そのため、柴野会長らは大学からアドバイスを受けながら自社生産に踏み切った。

(2020年5月号掲載)