機器・装置・製品/ロボット

地元中小企業の技術、鑑識現場で活躍

警察の鑑識現場で県内中小企業の技術が活躍している。グリーンテクノ(川崎市高津区子母口)が開発した「携帯型帯電ガン」は、残留物の採取が必要な捜査の領域で口コミが広がり、全国の警察に1000台以上を納入する。手軽に静電気を発生させる「帯電ガン」は、製造現場の簡易帯電試験や学校の理科の授業など幅広い用途がある。「“想定外”の普及ですが、事件解決に役立ててもらえれば」と田中實社長は話している。

想定外の使途に全国1000台超

帯電ガンは、静電気の仕組みを学ぶための教育現場のほか、異物混入が許されない工場で、粘着剤や画びょうを使わず、掲示物を壁に張る際にも使われる。

同社では「学校で楽しく学んでほしい」(田中社長)と、2014年に初期モデルを開発。携帯型のシンプルな操作性にこだわり、単三電池4本で稼働。ガンの引き金を引くだけで静電気が発生する構造にした。

こうした特徴が予想外にも警察関係者の目に留まった。鑑識現場でシートを敷き、その上から帯電ガンを当てる。すると、シート裏面に髪の毛や紙くず、ビニール類や金属などの微物が付着する。

非接触で効率よく採取できると、警察関係者の評判を呼び、次々と導入が決まった。「今後はもっと(同製品の)用途開拓を進めていきたいです」と田中社長は話している。

同社は、創業から50年超にわたり静電気の研究を続ける。これまで静電気を活用した発明は数多くあり、「キノコの増産装置」や「簡易植毛装置」など、あらゆる業界向けに応用製品を製品化している。

(2023年8月号掲載)