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台湾発の計測技術、日本事業拡大 電源装置を検査

台湾の計測機器メーカー大手、致茂電子(クロマ〈Chroma ATE〉グループ、桃園市)は、日本市場での事業展開を加速させる。日本法人・クロマジャパン(横浜市港北区新羽町)を通じ、電気自動車(EV)などのパワーエレクトロニクスや半導体向け電源装置の計測・検査ソリューションを主軸に展開、2030年までに日本市場での売上高を150億円とする計画だ。

EV・パワーエレ向けソリューション

クロマグループ会長兼CEO・黄欽明氏

クロマグループは会長兼CEOの黄欽明(Leo Huang)氏によって1984年に設立。現在、日本を含め世界56拠点を擁し、米経済誌Forbesから「10億ドル規模のアジア企業トップ200」で、台湾メーカーの中で最高収益企業として選出された実績もある。

電子計測機器や自動検査システム、工場実行管理システムなどを開発。納入先の業界も多岐にわたり、台湾で製造した製品を世界各地に出荷する。日本からも部材を積極的に調達しており、その比率は全製品の約3割に達するという。

日本事業で注力しているのが、パワーエレクトロニクス向けに、安定化電源や電子負荷、充放電システムといった計測・検査ソリューション。具体的には、日本のEV急速充電規格・CHAdeMO(チャデモ)対応の検査装置のほか、需要が急拡大するAIデータセンター用電源試験装置などを日本の大手電機メーカーに納入している。

今後はロボットやモーター分野への販路拡大も進める方針だ。

「日本拠点があるメリットを生かし、日本企業と連携してオリジナル製品を開発し、国内外で展開していくことも検討している」と、クロマジャパンの清原勝宏副社長は語っている。

(2025年7月号掲載、オンライン取材)