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台湾の半導体産業、後工程で下支え 日本市場開拓に意欲

台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、世界中で存在感を強めている台湾の半導体産業。その躍進を支える一社が、台北市に本社を構える製造装置メーカー、SCIENTECH(辛耘企業)だ。

ウエハー再生も拡大

半導体製造の「後工程」でソリューションを提供しており、ウェットベンチ(ウエハー洗浄、エッチング、ストリッピング)からモイスチャーベーキング(湿気を取り除くために加熱処理する工程)まで、各種装置をラインアップする。TSMCにも納入している。

一方で、使用済みのシリコンウエハーを洗浄、研磨、再調整し、再利用できるようにする「ウエハー再生」なども展開。台湾拠点では月16万枚もの再生能力を持っている。環境配慮に対する機運が世界中で高まる中、「再生能力の拡大も視野に入れています」と、李宏益総経理は語る。

1979年創業。もともとは代理店として出発したが、成長とともに製造装置も自社開発するようになり、今では米国や欧州、中国、韓国、シンガポール、東南アジアなど全世界に展開。グローバルで従業員900人を擁するまでに。2013年には台湾での株式上場も果たした。

同社が熱視線を注ぐのが日本。熊本に進出したTSMCが今後もさらなる生産拡大を進めるなど、国内半導体業界が盛り上がりを見せ、同社製品の需要も高まるとにらむ。

「5年後には売上高に占める日本の比率を20%までに高めていきたいです」と話しており、拠点設立も視野に入れる。

(2025年5月号掲載)