小田急線・新百合ヶ丘駅近くの洋菓子店、パティスリーエチエンヌ(川崎市麻生区万福寺)は、学童保育に通う児童たちが農業体験を通じて収穫したイチゴを店内に持ち込んでもらい、店内でケーキに変えて渡す食育イベントに協力した。横浜市青葉区でイチゴ農園「ピエノファーム」を運営するNPO法人・みんなのおうちバンビのピエノ(川崎市)の企画に賛同したもの。藤本智美・オーナーシェフは、「コロナ禍で子どもたちと地域がつながる機会が減ってしまいましたが、以前のように復活してほしいと思っています」と話した。
地元食育イベントに協力
■労働の対価
イベントを企画した「みんなのおうちバンビのピエノ」は、川崎市内に保育園を計3園、学童1施設を運営。コロナ禍の影響で、キャンプなどのイベントを相次いで中止せざるを得なくなったことから、数年前にイチゴ農園「ピエノファーム」を開園。自分たちでイベントができる施設として位置づけている。
今回は同園の石村元・代表が企画。石村代表は学童保育に携わる一方で、税理士の資格も持っており、小学校で税金の授業なども行っている。「(イベントを通じ)食育だけでなく、『労働の対価』というものを知ってもらえたら」(石村代表)と、川崎信用金庫に相談し、エチエンヌの藤本シェフを紹介された。
藤本シェフは、都内の五つ星高級ホテルでペストリー料理長(パティシエのトップ)を務め、洋菓子世界大会の最高峰「第10回クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2007」で総合優勝した有名人。2011年に川崎で「エチエンヌ」を開業して以来、地元に根ざしている。
石村代表の思いに藤本シェフも共感した。「子どもの時から社会との関わりを持って労働を体験し、その対価を得る喜びを知っていると、成長しても同じ意識が持てると思います」
■シェフ自らケーキに
同法人の学童に通う小学4~6年生たちが参加し、昨年11月に同園でイチゴの手入れ作業を実施、今年1月に収穫した。