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卓上型でオールインワン、除菌剤生成装置開発

アクア環境テクノロジー(川崎市高津区久地)は、目的に応じて「微酸性次亜塩素酸水」と「弱アルカリ性次亜塩素酸水」の両方を作ることができるオールインワンの卓上型除菌・消臭剤生成装置を開発した。コンセントにつないで専用の塩水チューブを注入するだけで自動生成。濃度も調整できる。日常生活での除菌・消臭のみならず、災害時の飲料水の滅菌消毒、うがいによる口腔内の雑菌除菌…。「用途は多種多様です」(美和清二社長)としており、家庭、業務用を問わず普及を目指していく。

目的別にその場で供給

川崎市の「新しい生活様式」対応研究開発補助金を受けて開発した。

食塩水を直接電解し、pH6.0~6.5前後の微酸性次亜塩素酸水(電解水)と、pH8.5~9.2前後に調整した弱アルカリ性次亜塩素酸水を作る。

微酸性次亜塩素酸水は、食品添加物としても使用されているもので、酸化力・殺菌力が強く、新型コロナウイルスや一般細菌・大腸菌などに有効とされる。

一方、弱アルカリ性は、たんぱく質や有機物化合物の分解能力が優れており、身近では歯科医院で口腔内の殺菌・消毒や、歯周に付着したタンパク質の洗浄除去などに使われる。

「クロリメーカーDX」と名付けた同装置は、1台で2種類の除菌消臭剤がその場で生成できるだけでなく、塩素濃度も3段階で調整可能。「強力な効果を求めたいなら濃くできます」(美和社長)という。塩水チューブ1本(30㏄)で900㏄を生成。価格は税込み9万6800円。ミニタイプは同5万8300円となっている。

除菌対策だけでなく、夏場のごみの腐敗臭や嘔吐臭、ペット臭対策なども想定。弱アルカリ性では、歯周病予防や入れ歯洗浄、医療機器の洗浄などを見込んでいる。「塩素で不活化できないものはほとんどありません」と美和社長。ニューノーマル時代の必須アイテムとして提案していく。

■水処理業界40年

もともと、中堅水処理装置メーカー出身でグループ会社社長も務めた美和社長。水処理業界40年のノウハウが生かされている。かつて石垣島の浄水場に携わった経験も、開発の原点ともいう。

当時の石垣島では、浄水場で水道水を作ろうとしても消毒剤が手に入らず、タンクローリーで運搬するのも困難だった。そこで塩水を電解して消毒水を生成する装置を納入したことがあった。今回の装置も同じ原理だが、広く普及させるために卓上型として再現した。

(2022年8月号掲載)