河野製作所(相模原市南区麻溝台)は“正三角形”を意識した経営を進める。機械加工を手掛ける同社だが、十数年前までは取引先がわずか数社だったものの、現在は取引先100社超に及び、成長を続ける。河野崇社長は、金属加工業が成長する上での必要な要素として「設備・人・仕事量のバランスが取れた三角形」を挙げる。それも“正三角形に近い状態”にすることで、おのずと収益もアップするという。
河野製作所、バランス重視で成長
座間市小松原に工場を持っており、半導体関連や自動車・防衛・医療関連部品などの超精密な切削加工を手掛ける。素材にもよるが、直径0.5mm~50mm、長さは250mm。精度は0.005mm単位での加工が可能。寸法公差も旋盤加工であれば内外径0.01mm、同芯度0.01mmまで十分対応できるという。
「営業を頑張れば仕事量は増えます。しかし『設備』とそれを動かす『人』とのバランスが保たれていないと、何らかの問題が出てきます」と河野社長。
仕事量に対し、既存設備と人員が不足していたら明らかにキャパオーバーになり、逆に設備や人員が十分でも、それに見合う仕事量が確保できなければ利益が出ない。同社はこの3要素を正三角形に近づけるように意識しているという。
特定の取引先に依存せず顧客を分散化しているのも特徴。大口取引先1社に頼ってしまう体質だと、その企業の動向に左右されやすい。あえて分散することで、経営の安定化につなげている。
取引先を増やすために、何か特別なことをしているわけではないという。「地道な信頼の積み重ね」(河野社長)と説く。「あえて言うならば、きれいな品物を納品するように心掛けています。納期も大切にしています」(同)とも。デジタル全盛時代ながらも、商売の基本的なスタンスを貫き続けている。