再生医療関連ベンチャー、ナレッジパレット(川崎市川崎区殿町)が開発した「細胞培養の基盤技術」が注目されている。大企業や大学、研究機関など10以上の団体と相次いで共同研究契約を締結。ノーベル賞科学者・山中伸弥氏が理事長を務める「京都大学iPS細胞研究財団」とも共同研究を始めた。
相次ぎ共同研究契約
再生医療用細胞の培養分野で活用される技術。従来は、培養元となる細胞の状態を調べる「細胞診断」の技術が確立されていないことから、高品質な細胞を安定して作ることは難しいとされてきた。
同社の技術は、ビッグデータを解析する「全遺伝子発現解析技術(培養性能評価)」を応用。通常のバルク(塊)状態の細胞分析には10万個以上の細胞が必要なところ、同社が持つ技術では、数千個でも正確に計測できるという。
再生医療用細胞を培養するためには“原料”となる細胞の状態を診断することで、条件に合った培養液などの状態を適切に選定できる。培養途中の細胞の状態を計測し、工程管理もすることで、最終製品の品質向上が図れる。
これにより、低コストで大量の細胞が品質よく効率よく生産できるようになるという。
團野宏樹CEOは「世の中にはまだ治療法の見つかっていない病気が多くあります。また、希少疾患のため開発されない薬もあります。私たちの技術で一人でも多くの人を救うことができたら」と話している。
今後は、共同研究で得られたデータや知見をもとに、創薬ベンチャーや国内外のバイオテック企業などとの事業展開も進めていく。