製紙産業が盛んな静岡・富士宮市で、再生紙の加工・販売で存在感を発揮するのがオオサワ商会だ。あらゆる包装資材を販売する商社機能に加え、「アングル(角当て)」と呼ばれる再生紙加工品を製造販売するメーカーとしての機能を備えたハイブリッドな事業を展開。包装資材に関してトータルソリューションを提供する。
祖業の商社からメーカーへ
メーカー事業の主力商品であるアングルは、包装資材として使用される保護材の一種で、特に商品の角やエッジを保護するもの。同社の特徴は、食品容器の廃材など、従来はリサイクルが困難とされてきた「難古紙」を原料として活用していることだ。
飲料容器内側のアルミや紙パックのアルミコーティングなど、処理困難な素材を積極的に仕入れ、独自の技術でアングルに加工し、運送業界などに供給。紙資源の循環を通じてSDGs(持続可能な開発目標)に一役買っている。
1994年10月に、包装資材の専門商社として設立された。2代目の大澤秀明社長は、大学卒業後に都内企業の営業職に就いていたが、30歳の時に実家である同社に戻り、経営に携わるようになった。
しかし、大手製造業の海外シフトなどの影響で包装資材の需要が低迷し、打開策を模索することになった。大澤社長は粘り強くテレアポを続け、顧客数を当時の20社から170社へと拡大させた。
同時に、廃業するアングル製造企業の設備を引き取り、周囲の反対を押し切ってメーカー事業への参入も果たした。「商社とは異なり、ものづくりなら付加価値を持たせやすいと考えました」と大澤社長は振り返る。
この決断が功を奏し、現在では安定した事業基盤を築く。「紙は富士宮の地場産業です。今後も残していき、お客さまに必要とされる会社づくりをすることで成長させたいです」と意欲を示している。



