清掃管理業のバンビルメンテナンス(川崎市川崎区大島)は、男性がメインの現場作業において女性スタッフを積極採用。「清掃女子」として育成を進めている。女性が“すき間時間”を生かして働ける仕組みを導入し、「副業を考える女性にも働きやすい環境にしています」(番場常彦社長)。技術もきちんと伝授し、パートであっても一人前のクリーンスタッフに育てている。正社員への道も用意しており、今後は女性活躍の道筋にもつなげたいとしている。
すき間時間で勤務可能
■野球から学んだ「基本の徹底」
高級料亭や結婚式場、スポーツジム...。さまざまな業種、設備の清掃を手掛けており、取引先は約70社、現場数は120以上ある。これらは全て、新規営業なしで口コミによるものだという。
「(清掃管理業は)価格競争が厳しい業界ですので、差別化につながることは何でもトライしています。設備投資や最新技術の情報収集も欠かせません。よい機械や薬剤を使えば生産効率も上がり、働く人のモチベーションも上がります」と番場社長。ただ、一番大事にしているのは「基本の徹底」という。
元高校球児。横浜高校野球部に所属し、甲子園への出場経験もある。高校卒業後、さまざまな職を経験し、約25年前に同社を立ち上げた。
「(ビルメンテナンスも)野球と同じく基本の徹底が一番大事です。日々コツコツと続け、品質とサービスに満足してもらえれば口コミにつながります」
そんな考えが、日常業務にも表れている。例えば、毎日使用するモップは1~3番までグレード分けしている。1番モップはぞうきんのように汚れを拭き取る時に使用。2番モップはその後の仕上げ、3番モップはワックス前のゴミ拭き取り用に使う。こうしたことを、管理職からパート・アルバイトまで徹底することで意識も変わるという。
■作業は3時間で1単位
同社が力を入れるのが女性スタッフの拡充。現場では何と20代の女性スタッフも「清掃女子」として活躍する。
というのも、同社の現場作業は1班(3~4人)で3時間の仕事が1単位。他社が2人1班で6時間かける現場であれ
ば、2班で出向いて3時間で終える。そのため、すき間時間を使って1単位からでもシフトに入れ、同社で働きたいとする女性が絶えなくなった。
もともと、女性採用のきっかけは、同社で働く息子の太一さんが「ビルメンテナンス業の2代目」と、地元の同級生や後輩の中でうわさが広まったこと。「空いた時間で働けるなら」と、周囲の20代女子が時短スタッフとして相次いで入社した。「業界的に人手不足ですが、世の中には子育て中やシフト勤務など限られた時間で働きたいと考える女性、学生が数多くいると思いました。しっかりと育成すれば戦力増強にもなります」。
さらに、女性スタッフが多いことで、美容クリニックやエステサロンなど、これまで接点がなかった「女性向け施設」にも展開しやすくなり、さまざまな相乗効果が生まれるという。
今後も清掃女子の育成に注力し、男性のイメージが強い清掃管理業界に新風を吹き込む考えだ。