伝統の横浜スカーフを復活させ再び世界へ─。佳雅(よしまさ、横浜市神奈川区神奈川)は、横浜を象徴する地場産品として世界中に輸出されていた「横浜スカーフ」のアーカイブデザインを復活させ、最先端のシルク技術を付加した機能性スカーフを輸出する。シルク加工などの老舗専門企業も関わり“100%のメードインジャパン”で仕上げた。米国や中国、東南アジアをターゲットに現地ECサイトなどに出店していく。遠藤敦史社長は「日本の良さをアピールしつつ、横浜スカーフの伝統を伝えたいです」と意気込んでいる。
機能性も付加、海外ECサイトへ
横浜は日本におけるスカーフ発祥の地とされる。1859年開港されて以来盛んになった生糸の輸出の流れの中で生まれた。長らく地場産業として発展。最盛期の70年代には、世界に流通するスカーフの約半分が、横浜から輸出されていたという。
ただ、ファッションの多様化や消費者のニーズの変化などにより衰退。今では、スカーフを手掛ける企業は市内でも数少ないという。
こうした中、同社はグローバルなスカーフ需要に再び着目。その一環として、かつて存在した業界団体「日本輸出スカーフ等製造工業組合」が1994年に市に寄贈し、デジタルアーカイブ化されている約60年前のスカーフデザイン約3万点の中から、数十点を選び復刻した。
そして、スカーフ製造の工程ごとに石川県小松市や山形県鶴岡市、京都府京丹後市などにある全国の老舗加工業者とタッグを組み、機能性商品「DURE(デュレ)」として完成させた。
米ニューヨークや欧州、アフリカ向けに輸出されていた当時のデザインを採用しながらも、ハイパーガード加工を施すことで洗えるほか、燃えにくく、さらにハトメ加工により、スカーフが簡単に結べるようにした。そのため、アウトドアの需要も狙えるという。
すでに米国では現地のクラウドファンディングにも挑戦。2025年中にも米国ECサイトを出店する予定で、今後は海外の富裕層をターゲットに販路を拡大していく。
遠藤社長は「円安も追い風です。3年後には海外売上高比率30%を目指していきたいです」と語っている。