照明機器メーカー、灯(川崎市高津区久地)が、伝統工芸「伊勢型紙」を使った照明機器を次々と開発している。着物などを染める型として、1000年以上の歴史があるとされる伊勢型紙だが、時代の移り変わりとともに活用の幅が狭まっている。現代アートと融合させ、インテリア家具などに形を変えることで、日本の伝統美術を国内外に展開していきたいという。
灯、海外市場にも販路拡大へ
三重県鈴鹿市の伝統工芸技術である「伊勢型紙」は、加工した和紙に彫刻刀で図柄などを切り抜いて作られる。着物や手拭いに繊細な模様をつけるための型染めに広く使われてきたが、洋装が主流になるにつれ、ニーズも激減した。
この美しい伝統工芸を継続させたいと、高橋完治社長が現代風「行燈(あんどん)」として商品化した。照明機器のランプシェード部分に伊勢型紙のデザインを使用。点灯させると型紙の繊細なデザインに光が当たり、美しい影絵が壁面に映し出される。
素材は木材、金属の2種類。フレーム部分に輪島塗を施したものや、匂い袋をセットして香りも楽しめるものもある。「壁掛けタイプや、海外からのニーズで製品化したスタンドタイプもあります」と、高橋社長は説明する。