面倒な申請書類は生成AIにお任せ―。「介護リフォーム本舗」をフランチャイズ(FC)展開するユニバーサルスペース(横浜市港北区新横浜)は、在宅介護に伴う住宅改修時に介護支援専門員(ケアマネジャー)が記載・提出する申請書類の作成業務を、生成AI(人工知能)の力を借りることで、飛躍的に時間短縮できるアプリを開発。ベータ版として無償公開した。平均2時間を要したものが、わずか10分で作成できるようになるという。ケアマネジャーなどの負担軽減や働き方改革にもつなげてもらう。
作成支援アプリが負担軽減
住宅内に手すりを設置したり、段差を解消したりする介護リフォームを施す場合は、介護保険が適用される。ただ、少額の工事であっても介護支援専門員は「住宅改修が必要な理由書」を記載しなければならず、これが大きな負担になっていた。
同社が調査会社マクロミル(東京都港区)に委託し、ケアマネジャーを対象に実施した実態調査(203人が回答)によると、実に77.3%が理由書の作成を「面倒」だと答えた。中には理由書作成が手間で住宅改修を提案しなかったという回答も22.2%あった。「書類作成時の文面作りが苦手な人もいます」(遠藤哉社長)。
同アプリでは、改修工事の対象となる利用者情報とケアプラン、改修提案の資料を事前準備する。そしてアプリ内に設けられた項目に必要事項を順番に入力していくと、後は生成AIが自動的に文面を作成。最終的に文面をチェックし、必要に応じて修正するだけで理由書が完成する。
理由書は各自治体によって様式が異なるため、まずは東京都と神奈川県の各市区町村に対応。今後は順次対応範囲を拡大する予定だ。すでに「申請書類・作成支援システム」として特許も取得した。
同社によると、2時間かかっていた作業が10分に短縮できた場合、全国のケアマネジャーの数と時給平均をもとに試算すると、業界全体で11億8000万円のコストセーブにつながるという。
「まずは無償版としてより多くの人に使ってもらいたいです」(遠藤社長)と話している。