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中小製造業に「宇宙ビジネス」指南 新規参入を支援

アストロコネクト(川崎市多摩区菅北浦)は、中小企業と宇宙ビジネスを結ぶコンサルティング事業を始める。主力事業の子ども向け宇宙教育プロジェクトの受講生が開始から5年で1万人を突破、企業としての実績と宇宙関連企業との人的ネットワークができたことから、宇宙に関するBtoB事業へ業務を拡大する。

人材育成からの事業拡大

同社の荒井大作社長は、高校時代に天文学部に所属して宇宙に接した。大手カメラメーカーに就職してレンズ設計を担当。2019年に44歳で「宇宙と人々をつなげる」を経営理念に、会社を設立した。

まず宇宙の魅力を子どもに伝える教育事業からスタート、自社運営の「オンライン ジュニア宇宙クラブ」はネット上で月2回・合計10回開催し、参加費は入門コースが1万円、上級の探求コースが2万5000円。

このほか、外部のオンライン教育サービス「キッズウィークエンド」上での授業展開や、自治体と連携しての図書館での教室開催なども実施、宇宙に興味を持つ子どもたちを育ててきた。

オンラインショップでは、宇宙に興味を持たせるグッズを販売。ロケットのミニチュアモデルや、科学館訪問のスタンプを押す「御宙印帳(ごちゅういんちょう)」などを用意している。

新規事業となる中小企業向けコンサルティングは、荒井社長が宇宙に詳しいだけでなく、ものづくりの技術者であることを生かし、航空宇宙分野への参入を目指す中小製造業に対し、製品や技術へのアドバイスを行う。

自社開発した屋内映写用の「天井プラネタリウム」や直径2.7メートルの正確な月のモデル「エアムーン」を保有しており、これらを使った企業向けの宇宙関連イベント開催なども行う。

教育事業では、卒業生の中学生が宇宙食開発に挑戦してニュースで取り上げられるなど、宇宙関連の人材育成に貢献しつつある。

「日本でも民間の宇宙開発ベンチャーが活発になってきましたが、人材を確保できず外国人スタッフばかりになっています。宇宙の美しさとものづくりの楽しさを両方知っている会社として、宇宙の魅力を広く伝えていきたいです」(荒井社長)と話している。

(2024年8月号掲載)