一杯のお茶に込められた香りと歴史を多くの人に─。三陽茶莊日本(横浜市神奈川区松見町)は、中国茶のインターネット販売で成長を遂げている。インターネット通販サイト「楽天市場」に出店し、烏龍茶やジャスミン茶などのカテゴリーで多数の商品をラインアップし。中国茶の魅力を広く伝えている。コロナ禍で主力事業の一つが低迷したことを機に、それまでは手薄だったEC販売を強化する戦略が奏功した。
個人から飲食店へ利用層拡大
1986年5月の設立。当時は珍しかった烏龍茶に着目し、中国福建省からの原料調達をシンガポール経由の独自ルートで仕入れ、大手飲料メーカーに供給してきた。誰もが一度は目にしたことがあるペットボトル飲料の原料も納めていたという。そのほか、中国から農産物輸入なども展開している。
中国からの直接輸入が自由化されると、大手飲料メーカーは自前で原料調達を始めた。そのため、現在はドラッグストアのプライベートブランド(PB)商品向けの原料供給にシフトしている。
やがてコロナ禍で状況が一変した。それまで手掛けていた農産物の輸入事業が打撃を受けたのだ。見いだした活路はECサイト。20年前に開設したものの「売れ残った茶器などを販売する目的」(稲田真介社長)だった。お茶本体を売り出すと、意外なほど好評を得た。
中国の協力業者と提携し、栽培から出荷まで一貫して管理することで、安全・安心な商品供給を実現した。一般的な烏龍茶飲料とは一線を画し、「緑茶に近くて青っぽく、すごくフレッシュな香りがします」という凍頂烏龍茶や、静岡市葵区有東木で取れた規格外の茶葉を用い、中国茶の製法を応用して作った日本茶・有東木(うとうぎ)玉茶など、希少価値の高い商品を扱っている。
横浜の中華街に行かなくても、本場の中国茶が手に入るとあって、個人だけでなく飲食店関係者からの注文も寄せられている。稲田社長は「EC販売は売り上げの約3割を占めるまでになり、年々伸びています」と手応えを感じているという。「烏龍茶はペットボトルのイメージがあるので、それを覆していきたいです」とも語る。