ブルー・スターR&D(相模原市中央区横山台)は、同社で製造販売する「超音波バリ取り洗浄装置」の実験センターを中国・天津市と東莞市に設立、3月から稼働させる。中国では新型コロナウイルス感染拡大の影響で、工場で人手をかけない“自動化”に対するニーズが急激に高まっており、バリ取りも同様という。ただ、日中間の往来が困難なため、現地の実験センターに最新鋭バリ取り洗浄装置を設置。現地企業から持ち込まれた部品のバリ取りが、同社の装置で自動化できるかを検証し、販売につなげていく。
ブルー・スターR&D、需要急増に対応
同社のバリ取り洗浄装置は、水に超音波を当てると発生する「キャビティー」と呼ばれる微細な泡を用い、対象物の表面を傷付けることなく、付着した汚れやバリを除去する。すでに日本国内では大手自動車メーカーを筆頭に続々と採用されており、精密部品や電子部品分野などにも利用されている。
こうした中、コロナ禍により昨年末から中国企業や現地日系企業からの問い合わせが急増。「昨年12月からの1カ月分だけで、日本の1年間分に相当する引き合い件数でした。中国の場合、工場で新型コロナが発生したら数週間の操業停止になるため、死活問題になるからです」(柴野佳英会長)という。
そこで、天津に進出する日系の中堅機械商社と組み、同社の現地子会社内に実験センターを置いた。東莞でも協力関係にある中国人スタッフの駐在事務所を活用する。
■日系、現地企業に販売
天津は日系自動車産業が進出する一方で、中国南部にあたる東莞には現地の大手通信企業など、電子部品関連の企業が集積する。2拠点を設けたことで、現地からの需要に対応できる体制が整ったという。
両拠点では、現地企業などが製造する精密部品などのバリ取りを、センター内にある装置で除去、自動化できるかを検証するとともに、サンプルを日本の本社に郵送し、そこでも検証する。そこで自動化できると判断した場合は、日本から装置を輸出、販売していく。
柴野会長は「中国の製造業でも自動化は進んでいますが、バリ取りだけは手作業でやっている企業が少なくありません。コロナ対策でバリ取り洗浄装置を導入する動きは増えるでしょう」と話している。