マクルウ(静岡県富士宮市)は、マグネシウム合金の塑性加工・溶接技術の用途拡大を進める。実用金属で最軽量とされるマグネシウムは、加工が難しく塑性加工は不可能とされてきた。同社は世界で初めて工業的な塑性加工の一貫技術を確立。マグネシウム製の杖(つえ)などを製造販売している。今後はオールマグネシウム製の車いすや歩行器といった自社ブランドの福祉製品を市場投入するほか、建設現場の型枠部品、マグネシウム電池の電極部などにも展開を広げていく。
自社製品開発にも挑む
マグネシウムは軽くて強いという特性があるため、用途拡大が期待されているものの、従来はダイカストなどの鋳造や切削しか加工方法がなかったという。
同社は2010年からマグネシウムパイプを引っ張って細かくし、寸法精度を上げる「冷間引抜き加工」の実用化に着手。油の種類、金型の形状、熱処理(焼きなまし)、引抜き速度などの試行錯誤を重ね、遂に加工できる条件を突き止め、14年から事業化した。
現在は押出しから引抜き加工、溶接、曲げ、塗装まで一貫して自社で手掛けている。
「そもそもマグネシウム製パイプの市場がなかったため、自分たちで開拓しました」(安倍信貴常務)としており、その一環として杖(商品名「フラミンゴ」)を生産。現在は売上高の半分以上を杖のOEM供給が占めている。




