海外オートバイなどの輸入・卸売業、モータリスト(東京都大田区仲六郷)が扱うのは、世界中のブランドだ。現在、計7つのブランドの独占販売権を持っており、日本市場での普及を一手に担っている。「オートバイは趣味嗜好の世界だからこそ、もっと選択肢があってもよいはず」と語る野口英康社長は、市場の大半を占める国内4大メーカー(ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキ)にはない、海外ブランドの魅力を訴求し続ける。
魅力伝える輸入総代理店
2年前に設立したばかりの企業。社員数6人ながらも、イタリアの「ファンティックモーター」や「ランブレッタ」などを中心に、海外の名だたるブランドの日本における輸入総代理店を担う。
「自分たちの理念にマッチしていて、日本市場でも必要とされるものなら、世界中のどのブランドでも扱います」と野口社長。
同社のビジネスモデルの特徴は、流通の“川上”に特化している点だ。日本にまだ進出していない海外のオートバイブランドを発掘し、独占販売契約を結ぶ。そしてこれらブランドを全国のバイクショップに卸す。そのため“川下”の競争にさらされることなく、「(上流に位置しているので)自分たちで川の流れを作っていけます」と言う。
現在、7ブランドを扱う販売店は累計200店舗に拡大、輸入台数も500台を突破した。
■バイク選びに選択肢を
同社が扱う海外ブランドの選考基準は実にシンプル。「かっこよいか、そうでないかが基準です。そして、買った後に安心して乗り続けてもらうため、パーツの供給体制が整っているか、信頼性が高いかを見ます」と明かす。最近では脱炭素時代をにらみ、中国の電動スクーターブランドの輸入も始めた。
とはいえ、コロナ禍やウクライナ情勢を背景にした原材料・輸送コストの上昇、それに円安は、同社のような輸入業者にとっては逆風だ。それでも、国内市場における海外ブランドは排気量400cc以上が主戦場で、高価格帯の商品が多い嗜好品であるため、景気にも左右されにくい。
ニッチだが、各ブランドの魅力を訴求し、少しでも多くの販売店を巻き込めば勝機が生まれる。
「バイクは生活必需品ではありません。趣味の世界だからこそ、好みも十人十色です。4大メーカー以外にも選択肢が広がってもよいはずです」と、野口社長は力を込める。
今後は独占販売権を持つ輸入総代理店という強みを生かし、日本市場にマッチした戦略で、各ブランドの浸透を図っていく。