東洋測器(横浜市港北区新羽町)は、ロードセルを中心とした計量システムの専業メーカーだ。ロードセルの存在は、一般的には知られていないものの、実は日常生活には欠かすことができない重要なセンサーといえる。一定の方向に加えられた力を電気信号に変換する役割だが、簡潔に言えば、質量(重さ)やトルク(力)を“見える化”するもので、そのニーズは限りなくあり、身近な電気製品から航空宇宙まで多岐にわたる。同社が製造販売するロードセルも多種多様だが「1個からでも受注生産できるのが当社の強みです。業界ではあまりやっていません」と、串田健司社長は胸を張る。
国内産業支える計測システム
■稼働率は100%
ロードセルを搭載したものは、日常生活でも数多く目にする。空港カウンターでの荷物はかり、エレベーターの積載荷重の検知センサー、精肉店でよく見かける料金はかり...。重さや力の計測が必要なものは数限りなくあり、それに伴いロードセルも必要になるのだ。
グラムからトン単位までの計量をはじめ、用途によってロードセルの種類も異なる。
同社でも、標準品だけで数百、特注品を入れると数えきれないロードセルを製造。約2000社の取引先を持ち、電機から自動車、航空宇宙、食品、バイオ、エネルギーなど、ほぼすべての産業に納入している。工場内も忙しく「稼働率は100%」(串田社長)とするほど、景気に左右されない堅調ぶりを発揮している。
■心臓部は内製化
串田社長によると、ロードセルに参入する企業は、大手を含め100社ほど。その中でも、1個からでも特注品生産が可能な企業は業界でも珍しい。
量産品が主体の大手企業にとっては、一個一個カスタマイズしていたら、採算が合わない。引き受けたとしても、数百、数千個単位で売る必要がある。
「だから当社は少量の特注品に特化しています。そのことが一番の差別化になっています」(串田社長)。
短納期も強み。他社が3カ月かけて生産するものでも、1~2カ月で納品できるという。
なぜロードセル1個からでも受注できるのか。それはロードセルの中核部品「ひずみゲージ」を自社開発、生産できることが大きい。ひずみゲージとは、外部から力を加えられて生じる材料の「ひずみ」を電気信号として検出するセンサー。文字通り、ロードセルの“心臓部”にあたる。他社がロードセルの特注品を生産しようとしても、ひずみゲージだけは外部調達しなければならない。そのため、コストや時間がかかる。逆に同社では「(ひずみゲージを内製化していることで)特注品に応じたひずみゲージが開発できます」と言う。
■国内最小クラスも開発
国内最小クラスのロードセルも製品化する。従来型の半分以下となる、直径7ミリサイズだ。これで50キロの重さを量ることができるという。