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ロストワックス鋳造の新工法、3DプリンターでABS樹脂成形

武杉製作所(横浜市鶴見区東寺尾)は、3Dプリンターを活用したロストワックス鋳造の新工法を開発、導入した。ロストワックス鋳造は、ワックス(ロウ)を利用した鋳造法の一種だが、ロウの代わりに3Dプリンターで成形したプラスチック(ABS樹脂)を使用。製作期間を大幅に短縮し、鋳造にかかるトータルコストも半分程度にするという。

納期短縮、コストも抑制

ロストワックス鋳造は、加工が簡単な素材であるロウを使用。まずは専用金型によってロウの原型(マスター)を製作し、その原型を石膏やセラミックなどで固める。そして高温の炉によってロウを溶かし、最終的に「鋳型」にする。

砂型鋳造と比べると、複雑形状や精密な鋳造品が作れるほか、表面もきれいに仕上がるという。

金型を使わずに原型を作る

同社によると、神奈川県内でロストワックス鋳造を専門に手掛ける企業は少ないとしており、しかも少量品でも対応するという。

今回、同社は顧客からの要望に柔軟に対応するため、新工法を開発した。

従来のように金型を製作して、そこからロウの原型を作るのではなく、時間が早い3Dプリンターによって「プラスチック原型」を製作。その原型に対し、従来のようにセラミックなどで固め、炉で200〜300度程度にしてプラスチックを溶かして鋳型にする新方式を導入した。

「顧客のコスト感に応じて提案」

ロウ原型の金型が必要ないため、納期で半分から3分の2程度になるという。「顧客のコスト感に応じて、通常のロストワックス鋳造か新工法かを提案できます」(笠原成晃社長)。

ギア部品などの少量品や試作品にも向くとしており、今後は積極的に売り込んでいく。

(2024年8月号掲載)