住まいの産業 / ライフサイエンス

リサイクル堆肥、フードループに一役

横浜環境保全(横浜市中区山下町)が自社製造するリサイクル堆肥「ハマのありが堆肥」が注目されている。可燃ごみとして捨てられた食品廃棄物を堆肥としてリサイクル。フードロスの解消や焼却に伴う二酸化炭素(CO₂)排出量の削減につなげるものだ。横浜の地ビール会社や農家などと組み、食の循環(フードループ)の取り組みを進めてきた。SDGsなど環境問題への意識の高まりから問い合わせが急増しているという。

横浜環境保全、SDGsで問い合わせ急増

横浜、川崎市を中心とする約150の飲食店などから出た食品残さを、可燃ごみとは別にリサイクル用として回収、自社設備で堆肥を製造する。

2001年の「食品リサイクル法」施行時から着手した事業で、神奈川県リサイクル製品にも認定されている。

カットした野菜の使わない部分や賞味期限を過ぎた食品など、同製品の“原料”に使われる食品残さは、月に約100トン。堆肥に使えないものが入っていないかの確認から始まり、発酵、乾燥させ、完成までに約3カ月がかかるという。

発酵促進のために剪定(せんてい)枝を加え、においを消すためにコーヒーかすも加える。温度が上がらないときは調整用に米ぬかを入れることも。出荷前の袋詰め時には、ふるいにかけて異物混入がないかどうかを確認しているという。

■トラック単位での注文も

同社の小林大二・金沢事業所統括施設長は「塩分を含む魚の皮や硬い骨などがあると発酵が進まないため原料にできません。腐敗したものも堆肥の品質に関わるので一緒にはできません。細かいですが、一軒一軒説明して協力してもらっています」と説明する。

出来上がった堆肥は、金沢事業所と瀬谷事業所で販売するほか、同社ホームページからでも注文可能。窒素成分などの栄養分が市販のものと比べて豊富なことから、「葉物野菜がよく育つ」「トマトが甘くできる」などの声が寄せられており、春と秋の種まきシーズンにはトラック単位での受注も寄せられるほどだという。

(2022年1月号掲載)