ブルー・スターR&D(相模原市中央区横山台)は、超音波を使うことで、プリント基板実装時のメタルマスク(治具)の汚れを高速洗浄、乾燥させる専用装置を開発した。メタルマスクの洗浄と乾燥にかかる時間が、それぞれ最短30秒としており、生産効率を大幅に高められるという。大手自動車電装部品メーカーが開発協力した。2023年度は5台、24年度10台の販売を計画する。
超音波システム、コストも削減
汚れが付着した大量のメタルマスクを同装置に投入すると、自動洗浄・乾燥する。水に強力な超音波を当てることで発生する「キャビティー」と呼ばれる真空の玉で汚れを除去する仕組み。
基板の表面実装時、基板上にハンダペーストを印刷するためのメタルマスクは、使用すると汚れが付着するため、洗浄する必要がある。ただ、同社の柴野佳英会長によると、従来はシャワーを当てて汚れを落とすやり方だったため、汚れが残ってしまうリスクがあったという。
同装置は短時間で洗浄・乾燥が終えられるだけでなく、ミクロン単位の汚れも除去する。「年間のランニングコストも従来方式の3分の1以下になります」(柴野会長)としている。
国内標準仕様の場合、価格は1台1850万円、納期は5カ月半程度かかる。「今後はプリント基板実装を手掛ける世界中のメーカーに売っていきたいです」(同)と意気込みを示している。
■基幹部品を内製化
同社はコロナ禍で表面化したサプライチェーンリスクを回避するため、超音波装置の基幹部品「大型超音波振動素子」の生産を、海外から国内での自社生産に変更した。
海外生産と比べ約5倍のコスト増になったというものの、「品質が安定してトラブルがなくなった分、十分吸収できています。だから世界中のどのメーカーにも販売できます」と話している。