学生ベンチャーのEssen(エッセン、川崎市中原区木月)は、マイカーのリアウィンドウに広告シールを貼るだけで広告収入が得られるサービス「WithDrive(ウィズドライブ)」の全国展開を始めた。車両ラッピング広告を出したい企業と、収益を得たいドライバーを専用アプリでマッチング。ドライバーには、AI(人工知能)とビッグデータで割り出した「広告効果がありそうな推奨ルート」を走行してもらう仕組みだ。

学生ベンチャーが全国展開

すでに大阪府松原市、藤井寺市、羽曳野市、堺市で大規模な実証実験を実施。限定された地域を数十台規模で走行し、グランドオープンした大型商業施設を宣伝した結果、同サービスの有効性を確認した。

「今後はあらゆる地域、用途での活用を提案していきたいです」(橘健吾社長)としており、同サービスを本格化させていく。

同社によれば、街中の看板広告が人の目に留まる時間が0.3秒である一方、運転時間の90%以上は、前方車両のリアウィンドウを見ており、そこに広告があれば、看板よりも長いリーチ時間で十分に宣伝できるという。

同サービスでは、企業がリアウィンドウに貼る広告ステッカーを出稿。マッチングしたドライバーが推奨ルートを走行する。

その中で、位置情報と取得データを解析。広告が「いつ」「どこで」「何回」見られたのかをフィードバックしていく。

一方、ドライバーにとっても、普段のマイカー通勤や家族の送り迎え、ちょっとした隙間時間を利用すれば、報酬がもらえる。

「このビジネスを普及させ、移動するだけでさまざまな価値が生まれるプラットフォームの開発にもつなげていきたいです」と、橘社長は話している。

(2023年12月号掲載)