金属加工・樹脂加工・その他加工

プリント基板生産で3Dプリンター活用

プリント基板製造、相生電子工業(寒川町大曲)は、作業のスピードアップや品質安定化に向けて3Dプリンターを活用したオリジナル治具を導入。現場の熟練者が考案し、実際に使いながら「現場発の治具アイデア」を形にしている。3Dプリンターを持っているものの、活用できていない企業が少なくない中、大幅な生産効率化を実現させ、得意とする「超短納期対応」に役立てている。

オリジナル治具で効率アップ

現場には数々の“オリジナル治具”が並べられ、さまざまな工程で生かされている。 

基板の防湿処理では、防湿スプレーを吹きかける際、基板上の特定部品を保護するマスキングテープを貼るが、細かい部品に手で貼ると膨大な時間を消費するだけでなく、1枚ごとに同じ作業を繰り返すと効率が悪い。このため、保護対象となる部品の形状に合わせた微小カバーを3Dプリンターで製作し、基板を覆うことでマスキングテープの手間が省けるようにした。

手作業による部品のピッキングに対しても、3Dプリンターで製作した専用トレーを使用。数量ミスを起こさず作業時間も短縮できる。

もともと他社と比べて超短納期を強みにしており、モノによっては即日納品にも対応する。そのため、「(残業を繰り返さず)通常の稼働時間と稼働率を維持しながら、短納期対応ができるよう工夫しています」(矢島源吾社長)と、知恵を絞っている。

■ベトナム人材を活用

プリント基板の設計から実装などをワンストップで手掛ける。取引先は70~80社。「航空宇宙以外は何でもやっています」(矢島社長)と言うほど、幅広い業界から受注する。

約60人いる従業員の3分の1がベトナム人材(実習生)。そのため、同社が注力するのがベトナム人材の日本語能力の向上だ。

会長や社長、社員、アルバイトを含めた日本人全員が、昼休みなどを利用して週2~3回、日本語をマンツーマンで指導。それぞれが担当のベトナム人材を受け持ち、日本語のレベルアップを図っている。

「一生懸命教えると、仕事のモチベーションも違ってきます」と矢島社長。ほとんどのベトナム人材が、日本語能力試験で2番目に難しい「N2」に、在籍中に合格している。

(2021年10月号掲載)