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プライベートジム、看板なくても好調

コロナ禍で「三密」を回避しながら通えるプライベートジムの需要が高まっている。競合がしのぎを削る中、Fit(川崎市幸区南幸町)は、看板がなくても予約が絶えないオーダーメードジムとなった。ホームページだけで会員を獲得できる秘訣は、利用者にとってオンリーワンとなるプログラム提供と、挫折も成功も分かち合える“引き出しの多さ”にあるようだ。

利用者唯一のプログラムを提供

もともと野球一筋だった山本宏樹オーナー。大手パーソナルジムでの店長経験を経て昨年4月に独立開業したばかり。

会員にはまず徹底的にヒアリング。その人の目的や運動習慣、生活スタイルを細かく聞き取る。例えば、足を鍛えて細くしたいのか、強くしたいのか、それともお尻が美しく見えるようにしたいのか、などだ。

だが、たとえ同じ目的であっても一律に同じプログラムは組まない。なぜなら、「生活習慣や体の状態も掛け合わせると、最適なプログラムはそれぞれで違うからです」と山本オーナー。

そこで、骨格や体格までも確認し、食事指導を含めたオンリーワンのプログラムを作成提供している。

子育て中の女性や経営者など、自分の時間が限られる中で結果を出したい人たちの間での口コミが広がり、開業以来、順調に会員を増やしている。最近では、男性会員も増えつつある。

■引き出しの多さ

山本オーナー自身、パーソナルトレーナーを目指し専門学校で勉強を始めたころは、体の線が細かったという。ただ、解剖学やバイオメカニクス、運動生理学、栄養学、スポーツ心理学など、学んだことを実践していくうちに、体つきが変わっていった。やがてはボディコンテスト「メンズフィジーク」の大会に出場するまでになった。

現在も大会入賞を目指し、日頃から減量や増量、目標に向けたトレーニングを重ねる。「トレーニングや我慢のつらさも分かるし、挫折したときの気持ちも分かります」。自分の経験があるからこそ、あらゆる状況にも自信を持ってアドバイスができるという。

ダイエットを目的に通い始めた人が、ボディラインの維持や大会挑戦など目的を変えて継続するケースにも対応。また、習慣化することで健康維持につながるとし、企業経営者の健康にも貢献したい考えだ。

(2022年10月号掲載)