住まいの産業 / ライフサイエンス

フィリピンごみ問題解決、2社が挑む

横浜の中小企業がタッグを組み、フィリピンのごみ問題を解決する。廃棄物処理業、グーン(GUUN、横浜市金沢区鳥浜町)は、同業の武松商事(同市中区)と共同で、経済成長が続くフィリピンのセブ州・マンダウエ市で、家庭や事業所から排出される食品廃棄物をリサイクルするプロジェクトの事業化調査を始める。両社の得意技術を持ち寄ることで、廃棄物の状態を見極め、バイオチャー(炭化物)や飼料にリサイクルしていく。

グーンと武松商事、リサイクルの事業化調査開始

JICA(国際協力機構)の「中小企業・SDGs ビジネス支援事業」に採択された。地元・横浜市や金融機関なども協力する。

セブ地域でも有数の工業地域であるマンダウエ市は、人口約36万人を擁する。人口密度が高く、市内には飲食店も数多くあるという。

ただ、グーンによると、フィリピンでは、リサイクルに向かないごみは埋め立て処理されている。食品系廃棄物や、プラスチックなどが付着した食品廃棄物(混合ごみ)も埋め立てられているのが実情という。小西武史専務は「1950 ~ 60年代の、かつての日本のようなイメージです」とたとえる。

ただ、海洋汚染などの懸念から、同市の埋め立て処分場はすでに閉鎖されており、現在は市外の民間業者に処理を委託している。

グーンと武松商事が目指すプロジェクトは、回収された食品廃棄物をさらに選別。飼料としてリサイクルできるものと、そうでないものに分けていく。このうち、リサイクルできるものは、同分野でノウハウを持つ武松商事が現地の畜産農家に供給できる飼料として製造する。

一方、それ以外の廃棄物はグーンがバイオチャーにリサイクル。石炭の代替燃料や土壌改良材としての利用を促進していく。

両社は現地企業の廃棄物担当者などが集まる組織「PCAPI-7」とも連携。2022年から調査を始め、27年までの事業化を目指す。

(2022年1月号掲載)