住まいの産業 / ライフサイエンス

パッカー車に彩り、業界イメージ変える

廃棄物処理業、横浜環境保全(横浜市中区山下町)が、業界のイメージアップを目的に始めた「プリント事業」を本格化させている。無地一色が多かったパッカー車に、自社工場で色とりどりのデザインプリントを施す。デザインは、地域の子どもを対象にコンテストを実施、選ばれた作品などを採用する。企業広告の掲載も可能で、新たな収益源にもつなげる。今では県内外の同業他社からも注文が寄せられるようになっている。

横浜環境保全、企業広告も掲載

小さな子どもたちが遊ぶミニカーのうち「働くクルマ」の売り上げランキングで、パッカー車は常に上位を占めているものの、若い人材の採用にはなかなかつながらないのが現状。「パッカー車はごみを積んでいるので、においもあるし、大きくて近寄りがたいのかもしれません」と、デザインプリント担当の松永登さん。

そのパッカー車に子どもたちの描いたかわいらしいデザインをプリントすることで、業界のイメージアップを図ろうと考えたという。

そこで同社では、「オートボディプリンター」を備えた専門工場を5年前に完成。これまでに約100台のデザインプリントを手掛けた。

凹凸のあるパッカー車の独特な形状にプリントできる設備も保有する。同業他社の営業車両のほか、建設現場の防音シートなど変わった素材向けの依頼もあるという。

「かわいいデザインや地域のキャラクターをプリントすることで、若い人が写真を撮ったり、子どもたちがパッカー車に手を振ったりしてくれるようになりました。子どもに笑顔で応えるなど、ドライバーたちの意識も変わりました」(松永さん)。

■ピンポイント広告も

デザインデータがあれば、別途プリント費用と広告掲載費用(月額8万円から)を負担することで、同社のパッカー車を「企業広告」として使うこともできる。

車の持ち込みから約1週間でプリント施工が可能という。パッカー車は1日の移動距離が平均150キロほどと長い。各地域のパッカー車に広告を掲載することで、その地域への“ピンポイント広告”が可能になるという。

松永さんは「自社だけでなく、いろんな企業にも使ってもらうことで広く世の中に役に立てたら」としている。

(2022年6月号掲載)