廃棄物の収集運搬処分、横浜環境保全(横浜市中区山下町)は、パッカー車(ごみ収集車)に対し、小中学生・高校生が描いた絵や、企業広告などを掲載する「プリント事業」を本格化させている。CSR(企業の社会的責任)活動の一環で、業界のイメージアップにもつなげる。パッカー車は繁華街などの決められたエリアを長く走行するため、目を引きやすいことに着目した。
横浜環境保全、業界イメージ変える
横浜や川崎、相模原、都内などで一般廃棄物(事業系の燃えるごみ)を中心に扱う。収集先は計1万カ所。横浜市内での業界内シェアは2割を占めるという。現在、パッカー車を170台所有している。
髙橋義和社長は「(廃棄物処理業界の)イメージを変えたいと思っていました。子供たちが将来なりたい人気職業にしたいです」と考え、着目したのがパッカー車。
パッカー車は、ミニカーの「働くクルマ」で売り上げランキング上位に入っているものの、業界では肝心の若い人材が集まらない。「ならば、パッカー車を何とかできないか」と、デザイン化を始めた。
小中学生や高校生を対象に、不定期だがデザインコンテストを開催。採用した絵をパッカー車の車体両サイドにプリントする。これまでに「イルカ」や「ジンベエザメ」、横浜のご当地ヒーロー「スター☆ジャン」などが登場した。
一方、企業にもパッカー車を“動く広告塔”として活用してもらう。パッカー車は1日の移動距離が平均150キロと長い。各地域のパッカー車に広告を掲載することで、その地域へのピンポイント広告が可能になるという。
「新製品のみならず、例えば横浜のイベント広告を、川崎で走るパッカー車に載せることで市外にも周知できます」と髙橋社長。企業向けは有償サービスとなっており、1台当たり月額8万円(税別、塗装費、デザイン費除く)から。
■全社員にフィロソフィ浸透図る
社内ではフィロソフィ経営も実践する。髙橋社長ら経営幹部が、稲盛和夫氏の「京セラフィロソフィ」を3年かけて勉強。2019年4月には、それを自社に落とし込んだフィロソフィ(計35項目)を作成。全社員への浸透を図っている。
具体的には、部署や担当、役職関係なく、ランダムに7 ~ 8人のグループを構成。毎月、フィロソフィに盛り込んだ項目を一つ決め、それに基づいた行動を各社員が1カ月間実践。翌月に成果を報告していく。
「立派なビジョン・ミッションがあったとしても、働く人たちが自分の都合だけを考えていたら、大きな成果は挙げられません。世の中の役にも立ちません。みんなでフィロソフィ=道徳を享受すれば、仕事で困ったり、迷ったりしたときも判断材料になります」(髙橋社長)と説明している。